自己破産と個人再生のどちらを選択するかは、
相談者本人にとっても、弁護士側にとっても、簡単に結論が出るものではありません。
制度の違いは比較的はっきりしていますが、
実際の判断では、いくつかの事情を重ねて検討する必要があると感じています。
以下は、自己破産か個人再生かで迷ったときに、
私自身が整理して見ている点の備忘です。
制度としての大きな違い
まず前提として、制度上の大きな違いがあります。
- 個人再生
債務が一定額カットされ、
カット後の債務を原則3年(場合によっては5年)かけて支払っていく手続です。 - 自己破産
原則として、免責許可決定後に支払っていく債務は残りません。
この違いだけを見ると、
「支払わなくてよい自己破産の方が負担が少ない」と感じられることもありますが、
実務ではそれだけで結論が出ることはあまりありません。
個人再生を検討する事情
個人再生を検討すべき事情として、
相談時によく整理しているのは、次の点です。
- (住宅を所有している場合)自宅を残したいという希望があるか
- 相談者の収入状況及び財産状況
- 自己破産による資格制限が支障にならないか
- 重大な免責不許可事由がないか
- 過去7年以内に自己破産をしていないか
資格制限については、
- 士業(弁護士、司法書士、公認会計士、後見人・・etc)
- 警備員
- 特定保健募集人
など、相談者がこれらの職業に就いていないかを必ず確認しています。
資格制限が問題になる場合には、
自己破産ではなく、個人再生を選択した方がよい場面があります。
履行可能性について
個人再生を選択する場合、
最も重要だと思われるのは、「 履行可能性」 です。
- 今後も安定した収入が見込めるか
- カット後の債務を、継続して支払っていけるか
債務を一定程度カットしてもらったものの、結局払っていけないということであれば、手続きの意味がありません。
その意味で、この「履行可能性」は極めて重要です。
なお、よく質問があるのですが、正社員ではなく、アルバイトで生計を立てている方についても、履行可能性が認められるケースはあります。また、多くの相談者の方が誤解されている部分なのですが、どんな場合でも債務が80%カットされるというわけではありません。清算価値保証原則による縛りがあります。
破産特有のリスクをどう考えるか
自己破産の場合、
管財事件になると、管財人による調査や追及が行われます。
- 財産状況の調査
- 使途不明金の確認
- 過去の取引の整理・・etc
これらを踏まえ、
- それに耐えられる状況か
といった点も、判断材料の一つとして考えています。
「支払不能」とまでは言えない場合
相談の中には、
- 現時点では何とか支払っている
- ただ、このままでは将来的に行き詰まりそう
というケースもあります。
直ちに「支払不能」とまでは言えないものの、
支払不能のおそれがある場合、
どの手続を選択すべきかは慎重な判断が必要だと感じています。
小括(備忘)
自己破産か個人再生かで迷ったときには、
- 制度上の違い
- 住宅を所有しているかどうか
- 資格制限が現実的な問題になるか
- 履行可能性
- 破産特有のリスク
- 現在の支払状況と将来の見通し
を一つずつ整理したうえで、
結論を急がないことを意識しています。
個人再生を選択する理由がどこにあるのか、
それを説明できるかどうかが重要だと感じています。
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