自己破産の相談を受けていると、
「すでに個人からお金を借りている」
「破産後も、その人に返済を続けるつもりだ」
という話を聞くことがあります。
私の個人的な見解として、
一定の関係性がある個人からお金を借りること、
また破産後も返済を続けることには、強い懸念があります。
新得財産の使途は、原則として破産者の自由
自己破産手続において、
開始決定後に新たに取得した財産(新得財産)については、
原則として破産者が自由に使うことができます。
それでも「個人への返済」が問題になる場面がある
気になるのは、
新得財産から、特定の個人に返済を続ける予定になっているケースです。
特に、
- 地元の先輩
- 職場の上司
- 古くからの知人
といった、
一定の力関係が存在する相手に対する返済です。
※私は、破産手続中は一切の返済を依頼者にやめていただくように伝えています。
親族への返済と、力関係のある相手への返済は同列ではない
例えば、
親族に対してずっと金銭的な支援を受けており、
破産手続が終わった後、「自分の意思で(自由な意思で)」返済をする、
という考えがあることは理解できます。
しかし、
- 断りにくい
- 関係を切れない
- 返さなければ何か起きるのではないか
といった事情がある相手への返済は、
本当に自由な意思に基づいているのか、
疑問が残ります。
破産手続前と、実質的に何も変わらない状態になる
そのような関係性の相手に返済を続ける場合、
- 借金がなくなったはずなのに
- 毎月の支出構造は変わらず
- 精神的な負担も継続する
という状況になりがちです。
これは、
破産手続によって生活を立て直すという趣旨と、
実質的に矛盾する状態だと感じます。
再スタートを切るための手続であるにもかかわらず、
現実は何も変わっていない、
ということになりかねません。
場外での取り立てと、逃れにくい人間関係
この種の個人からの取り立ては、
- 表に出にくい
- 記録に残らない
という特徴があります。
また、
閉じたコミュニティの中にいる限り、
物理的にも心理的にも逃れにくい
という事情があることも少なくありません。
- 破産後に一切連絡を絶つ方
- 生活拠点を変える方
もいますが、
それができる人ばかりではありません。
いくところまでいけば、警察力に頼らざるを得ない
法律上は、
- 脅迫
- 強要
- 不当な取り立て
があれば、
警察や法的手段を検討することになります。
しかし、
そもそもその段階に至ること自体が、
再スタートとして健全とは言い難い状況です。
まず重要なのは「個人から借りない」こと
以上を踏まえると、
最も重要なのは、
一定の関係性・力関係がある個人からは、
そもそもお金を借りないこと
だと考えています。
借りなければ、
返済を続ける必要も、
関係を断ち切るかどうか悩む必要もありません。
破産や再生を検討する段階で、
この点を強く意識することは、
再スタートの可否に直結します。
既に借りてしまっている人は
このHPを見ている方の多くは、
「個人からお金を借りてはいけない」という話を
事前に選べる段階にはいないと思います。
すでに、
- 借りてしまっている
- 返済の約束をしている
- 関係を切ることが簡単ではない
そうした状況の中で、
ここに辿り着いている方がほとんどではないでしょうか。
この手続で「終わらせる」覚悟は必要
あえて厳しい言い方をすれば、
破産や再生の手続を選ぶ以上、
この手続で一度すべてを区切るという覚悟は必要だと考えています。
- これ以上、個人に縛られない
- 破産前の関係性を引きずらない
- 借金問題を「過去のもの」にする
という覚悟がなければ、
手続だけが終わり、
生活は何も変わらない、という結果になりかねません。
小括(備忘)
新得財産の使い方は、
制度上は破産者の自由です。
しかし、
どのような関係性の中で、
どのような支出を続けるのかによって、
破産という手続の意味は大きく変わります。
すでに借りてしまっている状況であっても、
どこで区切りをつけるのかは、
今からでも選ぶことができます。
破産や再生は、
単に借金をなくすための制度ではなく、
生活と関係性を立て直すための制度です。
その手続を「通過点」にせず、
一度きちんと終わらせるために使う、
その意識が重要だと感じています。
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